都内に生まれ育った36歳女です。
小さい時から所有していたマンションの別荘があったのですが、年老いてきた両親のために私が売却の作業を全てしました。
マンションは80年代に建てられたもので、伊豆高原のいわゆる別荘地に立っている4LDK、100㎡以上はある大きな部屋でした。
部屋に主寝室、寝室、トイレ、お風呂、サウナがあり、広いダイニングリビングルーム、山の見える窓がついたL字型キッチン、和室、トイレ、洗面所、大きめのバルコニー、屋根裏部屋のような空間まである豪華な物件でした。バブル期の建てられたんだと思います。
徒歩圏内に小さなスーパーや、大きめの植物園やテーマパークがあり、最寄りの駅まではバスで行く立地でした。バス停は徒歩一分圏内で、その横には大きな露天風呂つきのホテルもあったのでたまに利用していました。
海までは徒歩三十分はかかったと思います。徒歩五分以内にパン屋、イタリアン、地元のソフトクリーム屋やお土産屋、もう少し歩くと住宅地の中にスウェーデン風カフェがあったり、ガラス美術館などもあり観光にはとても良い場所だったと思います。
夏にオープンするウォータースライダー付きの屋外の大きなプールやテニスコートにも徒歩で行けました。しかしこの十年くらいでだいぶ観光地が廃れていっている感じはしました。それでも都心から二時間程度で来れる場所は魅力的ではあったと思います。
売却する最大の理由になったのは、私たち子供が小さいときには家族みんなで夏休みに利用したり、親戚の者たちに使ってもらったりしていたのですがその機会が年々少なくなっていったことです。
人の出入りが少ないと家の劣化が加速するようで、もうこれは早めに売却した方が良さそうだと思いました。やはり多くの別荘物件に空きが出ているせいか査定額はとても少なく感じました。
それでも売りに出してからそれほどかからずに買い手が見つかりラッキーだったかもしれません。その方に売ることにした決め手は、祖母の集めていたたくさんの本をそのまま引き取りたい、と言っていただいたことでした。
他にも査定額より多くお金を出すという方もいたのですが最終的には、祖母の思い出もそのまま引き継いでいただけそうな気がしたので最初の方に決めました。
やはり長い間の思い入れの強いものほど、その後のことが気になりますし、なんだか寂しい気持ちがつきものなので、自分が人間的に好意を持てる人たちに引き続き使用してもらえるのが一番心残り少ないと思います。
とくに、庭の木や、壁のちょっとした美術品も込みで気に入っていただけるとなんだか暖かい気持ちで自分の所有物を譲り渡すことができました。