月々の住居費の支払がきつく、マンションから戸建てへの住み替えを検討している人も多いと思います。
結論からすると、マンションから戸建てへの住み替えは「正解」です。マンションよりも戸建の方が経済的なメリットがあります。
そこでこの記事では、こんな疑問にお答えします!
|
上記のような悩みをお持ちの人に向けて、不動産鑑定士でかつ宅地建物取引業者の社長も務める筆者が、これまでの経験や知識を元にマンションから戸建てへの住み替えについて解説します。
マンションから戸建ての買い替えメリットはもちろん、買い替えを成功させるポイントや注すべき点までも包み隠さず解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
1.マンションから戸建て住み替えるメリット
マンションを購入して、毎月の住居費がキツイと感じたら戸建への買い替えをおススメします。
マンションを購入すると、住宅ローンの他、以下の費用が発生します。
|
これらの管理費等はマンションに発生する特有の費用です。戸建てでは、基本的に発生しません。
管理費等は、合計すると毎月2~3万円発生します。
マンションの所有者は、戸建てに比べると毎月2~3の余計な負担が生じていることになります。
ただし、よく言われるのが「戸建ての方がマンションよりも修繕費が高いのではないか?」という点です。
修繕費に関しては、日本FP協会で以下のような資産をしています。
【木造戸建の修繕費】
補修内容 | 点検時期の目安 | 1回当たり費用の例 | 30年間累計 | |
補修回数 | 合計金額 | |||
外壁塗装 | 10~15年 | 100万円 | 2回 | 200万円 |
屋根塗装
(スレート葺) |
15~20年 | 50万円 | 2回 | 100万円 |
軒先・軒裏塗装 | 15~20年 | 30万円 | 2回 | 60万円 |
樋・床下メンテナンス | 15~20年 | 30万円 | 2回 | 60万円 |
シロアリ防除 | 5年 | 20万円 | 6回 | 120万円 |
クロス張替 | 7~10年 | 20万円 | 3回 | 60万円 |
サッシまわり
コーキング |
7~10年 | 30万円 | 3回 | 90万円 |
総合計 | 690万円 |
引用:日本FP協会「くらしとお金のワークブック平成25年版」より
上記の試算によると、木造戸建の修繕費は30年間で690万円ということになります。
690万円は、30年間で換算すると、毎月約1.9万円の支出です。
管理費等の合計が2万円を超えているようであれば、修繕費を加味しても戸建て住宅に買い替えた方が得になります。
さらに、戸建ての修繕費は自分の意思でコントロールできるため、工夫次第ではもっと削減することも可能です。
強制的に修繕積立金を徴収されるマンションよりは、戸建て住宅の方がトータルコストを下げやすいという特徴を持っています。
2.買い替えの準備は十分な下調べが重要
買い替えには、売却を先に行う「売り先行」と購入を先に行う「買い先行」の2種類があります。
マンションから戸建てへの買い替えを行う多くの人は、売り先行を選択します。
売り先行は、住みながらマンションを売るため、購入に集中しにくいというデメリットがあります。
せっかく買い替えを行ったとしても、焦って変な物件を購入してしまうと、後悔してしまいます。
そこで、買い替えを行う際には、事前に購入したいエリアを決めておき、その周辺環境や物件の相場を十分に下調べしておくようにしてください。
具体的には、スーパーや学区、病院、およその価格帯などを把握しておきます。
良い物件は、いつどのようなタイミングで現れるか分かりません。
買い替えをスタートしたときに、良い物件が出てきたら、サッと決断できる準備をしておくと、満足のいく買い替えを行うことができます。
売却に集中し過ぎず、良い物件を購入することを中心に考えるようにしてください。
3.買い替えの注意点
この章では買い替えを行う際の注意点について見ていきます。
3-1.計画が狂ったときの予備費を用意しておく
マンションから戸建てへの住み替えを始める前には、十分な予備費を用意しておくことが注意点です。
具体的には、引越代を2回分用意しておきます。1回は必ず引越しますので、もう1回分が予備費です。
売り先行では、購入物件が決まらず先に売却だけが決まった場合、一度、賃貸マンションなどに仮住まいをすることになります。
仮住まいをすると、2回引越すことになります。
焦って変な物件を購入するよりは、一旦賃貸に引っ越した方が得策な場合もありますので、引越代は合計2回分用意しておいてください。
一方で、売却よりも先に購入が決まってしまうこともあります。そのような場合は、つなぎ融資を利用すると対応が可能です。
つなぎ融資とは、売却よりも購入が先に発生した場合に、利用できる融資です。
※つなぎ融資については別記事で詳しく解説しています。↓
[st-card id=275 label=”” name=”” bgcolor=”” color=”” readmore=”on”]売却で得られる資金の一部を、次の物件の購入資金に充てる予定としていた場合、売却が決まるまでの資金繰りが必要です。
その資金繰りの役割を果たすのが、つなぐ融資になります。つなぎ融資は、金利の他、10万円程度の事務手数料が発生します。
つなぎ融資の費用も、予備の1回分の引越代を準備しておけば、足りる金額です。買い替えでは、売り先行でも購入が先に来たり、購入が遅れたり等のタイミングのズレが発生することが普通です。
良い戸建てを購入するためには、タイミングのズレを最初から許容しておくと、上手く行きます。
良い物件に買い替えるためにも、引越代は合計2回分(1回は予備費)を用意しておきましょう。
3-2.注文住宅は初期費用が高い
維持費はマンションよりも戸建ての方が安いですが、初期費用に関してはマンションよりも戸建の方が高いため、注意が必要です。
ざっくりとした諸費用の目安は、以下の通りです。
物件の種類 | 諸費用の目安 |
新築マンション | 物件価格の4%程度 |
中古戸建て | 物件価格の7~10%程度 |
注文住宅 | 物件価格の10%程度 |
特に注文住宅は初期費用が高くなります。注文住宅では、先に土地を購入する際、つなぎ融資を利用します。
住宅ローンは建物が建っている前提でないと組めないため、更地の状態ではつなぎ融資となります。
つなぎ融資は、住宅ローンに比べると、金利が高く、初期費用を上げてしまう原因となります。
戸建ては、確かにマンションと比べるとランニングコストは安いですが、初期費用は高いというデメリットがあります。
ただし、後々のことを考えれば、トータルでは戸建ての方が安いです。
最初だけ多少の痛みを伴いますが、月々のランニングコストを抑えるのであれば、マンションから戸建てへ買い替える方が良いでしょう。
まとめ
マンションから戸建ての買い替えについておさらいします。
|
マンションから戸建ての買い替えは、管理費および修繕積立金等がなくなることから、月々の経済的な負担が軽くなります。
ローンを含めた月々の負担が厳しい場合には、戸建てへの買い替えをおおススメします。
買い替えは、気に入った物件が出てきたら、迷わず購入できるよう、事前に購入したいエリアの周辺環境や相場を調べておくことがコツです。
また、買い替えは、タイミングが合わないと二重の引越代やつなぎ融資等の余計な費用が発生します。
予備費の確保と十分な下調べを行った上で、マンションから戸建てへの買い替えをスタートさせましょう。