不動産売買において、仲介を不動産会社に頼むと、取引成立時に「仲介手数料」が発生します。
上限は売買価格の3.24%+64,800円ですが、無理に値引きを求めない方が、結果的に手元に多くのお金が残ることになります。
なぜ値引きしない方がいいのか、不動産会社側の立場から考えてみます。
値引きNGの理由1:後回しにされる
仲介手数料の値引きを求めると、あなたのマンション売却を優先してくれず、後回しにされてしまう可能性があります。
これだけIT化が進んでいる現代においても、不動産売買は大部分が “人と人のビジネス” です。もちろん不動産担当者も、生身の人間です。
仲介する手間は一緒ですので、であればより儲かる物件にモチベーションが行くのは当然のことです。極自然な心理です。
たとえば20~30万円の値引きを願ったところで、あなたにどれだけのメリットがあるでしょうか?たしかに金額そのものだけを見れば、30万円は大金です。
しかしながら、後回しにされることによって売却チャンスを逃し、売れずに長期化するリスクがあります。なかなか売れない物件はレインズなどを通して、業界内で知れ渡ってしまい敬遠されるので、より売れにくくなってしまいます。
不動産会社は、あなたのマンションだけを取り扱っているのではありません。同時に多数の売却マンションを扱っているのです。
一般人が自力で買主を見つけるのは不可能ですので、高値購入してくれる良質な買主さんを見つけてもらうためには、不動産担当者に一生懸命頑張ってもらう必要があります。
ただ単に「頑張ってください」だけでは物足りませんので、現実的には仲介手数料を満額でお支払することが、担当者のモチベーションアップに繋がります。
値引きNGの理由2:広告宣伝が消極的になる
広告宣伝が消極的になる可能性も出てきます。
担当者のモチベーションがあがらないから消極的になるのではなく、担当者が所属している不動産会社が「広告は少しにしておこうか」という判断がなされるのです。
なぜなら、広告宣伝費はあなたが支払う仲介手数料から支払われるからです。当然、その財源である仲介手数料が少ないのであれば、広告宣伝も少なくなります。
仲介手数料による広告宣伝の違い
満額100万円の場合:「スーモにもアットホームにも掲載。近隣エリアに5000部ポスティングもしておこう!」
値引きし50万円の場合:「とりあえずスーモに掲載。あとはいいか・・・」
このように広告宣伝に違いが出てくるのは当然です。不動産会社も営利追求の民間企業なので、儲かりそうなことであればコストをかけられます。その逆もしかりです。
マンションを少しでも早く&高値で売るには、1人でも多くの方にアプローチし、売却情報を届けることです。どこに優良な買主がいるかわかりません。
上記例でいえば、50万円値引きしたことで買主がなかなか見つからず、やむを得ず物件自体の価格を300万円値引きせざるを得なかった場合、結果的にはあなたが損したことになります。
仲介手数料の値引きは、誰もが不幸になるリスクを孕んでいます。目先の利益に躍らされることなく、仲介手数料値引きしない方が、最終的には多くのお金が手に入ることを忘れないでください。
例外:値引きを求めても良いケース
基本的には仲介手数料は値引きしないことをおすすめしますが、例外も一部あります。
それは、不動産会社側が自ら「値引き・割引制度」をアピールしている場合などです。
- 期間限定の値引きキャンペーン
- 紹介制度による割引
- 不動産会社グループに親族がいる場合の割引
などがあり、私は実際に3つ目の親族割引を利用させていただきました。
野村不動産アーバンネットという不動産会社でお世話になったのですが、私の弟が野村不動産グループで働いているために、無条件で仲介手数料を20%割り引いていただきました。
このように特にこちらから無理な値引き交渉をするのではなく、すでに「値引き・割引制度」があるのであれば、遠慮せずに利用させてもらいましょう。
また仲介手数料値引きの代わりに、家電20万円プレンゼントなどの特典を付けている不動産会社(トラスト不動産など)もあります。
新居で新しく家電を買う予定の方にとっては、実質的には値引きと変わらない恩恵があります。
まとめ
仲介手数料を安くしたい気持ちは、ものすごくわかります。
でも、値引きはおすすめしません。
上述した通り、仲介手数料は安くなったとしても、物件自体の価格が安くなってしまうリスクがあります。本末転倒です。
不動産会社の協力なしでは買主を見つけられないので、無理な値引きはしない方が良いです。