決済・引き渡し当日の流れと注意ポイント/持ち物・場所・時間

決済とは、簡単に言うと「支払い」のことです。

決済完了=マンション売却完了、でもあるので、非常に大切な段階です。

場所:銀行の個室

不動産の決済場所は、銀行の個室です。買主が住宅ローンを借りた銀行の個室で行われることが一般的です。

実際に私が決済したのが、以下のような個室でした。
マンション売却決済時の銀行個室行く前のイメージとしては、窓もない薄暗い部屋に、高級そうなソファがあって・・・という状況を想像していましたが、実際には窓もあって明るくとても雰囲気のよい空間でした。

なお買主がネット銀行で住宅ローンを借りた場合は、不動産会社の店舗オフィスが決済場所になることもあります。

 

時間帯:平日の昼間、全部で2時間

銀行の営業時間である平日日中に、全部で2時間ほどかけて行われます。

土日は銀行がやっていないために、どうしても平日になってしまいます。普通のサラリーマンなら有給や半休を取るしかありません。

このあたりについては将来的に、土日でも決済できるように改善していって欲しいところですね。

 

参加者:買主、売主、司法書士、銀行員

決済には以下の人々が参加します。

  • 買主
  • 買主側の不動産会社
  • 売主
  • 売主側の不動産会社
  • 司法書士
  • 銀行の担当者

メインは買主、売主、不動産会社です。

私たちが決済した際には、以下のような配置で座りました。
マンション売却決済時の座り方/配置銀行員(担当者)は常に座っているわけではなく、個室を出たり入ったりが激しいです。必要書類を確認・提出したり、入出金作業のためにバックヤード(店舗奥の執務エリア)に行ったりするからです。

不動産会社がリードして話を進めてくれるので、買主や売主は受け身の姿勢でいても問題ありません。

ピリピリと張り詰めた空気ということでもなく、和やかでリラックスした雰囲気の中、決済が進められます。このあたりは不動産会社の担当者の人柄によるでしょう。

 

決済当日の持ち物

  • 印鑑
  • 印鑑証明書
  • 身分証
  • 権利証
  • 銀行通帳

上記持ち物について、以下詳しく解説します。

印鑑

決済当日は捺印箇所が多いです。書類への記入関係はなにかと印鑑が必要になりますので、必ず実印を用意してください。

印鑑証明書

印鑑証明書は、売買契約時などに事前に不動産会社に提出していれば、決済時は不要になることもあります。

決済日当日に必要なることもありますので、その際は発行日から3ヶ月以内のものを準備してください。

身分証

顔写真付きの身分証が必要です。運転免許証があればOKです。

なければパスポート、それもなければ健康保険証などでも可能かどうかあらかじめ確認しておきましょう。

権利証(登記識別情報)

マンションの登記移転をするために必要になります。登記をもって持ち主が「売主→買主」に正式に変更されます。

当日はその場にいる司法書士の支持に従って、提出を求められたら司法書士に渡して下さい。

「鍵を渡す=マンションを渡す」ということになります。

部屋自体のスペアキーはもちろん、オートロック玄関ロビーの鍵、宅配ボックスの鍵などもあれば、1つ残らず全て用意してください。

万が一紛失してしまった鍵がある場合は、その旨をしっかりと買主へ伝えなければなりません。

銀行通帳

買主から入金してもらうための、あなた(売主)の振込先口座が必要です。

実際に入金作業をするのは銀行員であり、銀行員は通帳記載の口座番号を確認しながら、慎重に入金作業をします。

 

決済当日の流れ

  1. 銀行個室への移動
  2. 司法書士による登記書類確認
  3. 残代金の決済
  4. 税金・管理費の清算
  5. 領収書の提出
  6. 鍵の引き渡し
  7. 仲介手数料の支払い

大きな流れは上記の通りです。それぞれ解説します。

1.銀行個室への移動

決済は、買主が住宅ローンを借りた銀行店舗で行われます。

銀行店舗によって多少は異なりますが、普段はなかなか行くことのない2階や3階、フロア奥の方などに、ローンビジネス用の個室があります。

本ページ冒頭に載せた写真は、私が実際に決済した個室です。

2.司法書士による登記書類確認

司法書士とはこの場で初めて対面することになります。あらかじめ不動産会社が司法書士を手配してくれています。

簡単な自己紹介や名刺交換をした後、マンションの登記移転についての確認・説明があります。

細かい内容はいろいろありますが、大筋としては「△△マンションの所有者を、○○さんから□□さんに変更しますが、間違いないですね?」という内容です。

必要に応じて確認、署名・捺印をします。

3.マンション代金の決済

マンション本体代金を、買主に支払ってもらいます。

この時点ですでに買主の銀行口座には住宅ローンとして借りた数千万円が入っていますので、その買主の口座から入金してもらいます。

ただし、実際の入金作業は銀行員がやります。金額が大きく、ミスったら大変なことになるからです。

買主が書いた「誰々にいくら入金します」という指定用紙に基づき、銀行員が何度もチェックしながら代わりに振り込みます。

売買契約時に手付金を払っている場合は、残代金が入金されます。

例)売買価格3,000万円

手付金300万円を受け取り済み:残金2,700万円が入金される

手付金は一切受け取っていない:全額3,000万円が入金される

数千万円もの取引になるので、不動産会社と一緒に入金額を慎重に確認して下さい。

4.税金・管理費の清算

固定資産税などの税金、マンション管理費や修繕積立金を清算します。

固定資産税は1月1日時点での所有者に課されますが、引渡し日を基準に、売主と買主で1年間を日割り計算します。管理や修繕積立金も同様です。

一時的に売主が固定資産税や当月分の管理費を払いますが、日割り計算で買主が負担する分を、この場で買主→売主に支払います。

例)4月10日が引渡し、マンション管理費30,000円/月の場合

売主:30日分の管理費全額を一旦管理会社に払う
買主:20日分の管理費を売主に払う

※日割り計算し、売主10,000円負担(10日分)、買主20,000円負担(20日分)になるよう清算。

固定資産税の日割り計算についてはこちらの記事で、例をもとにわかりやすく解説しています。

5.領収書の提出

売主は、買主に対して領収書を渡します。

  • マンション代金
  • 固定資産税と管理費

の2種類の領収書を発行するようにして下さい。とは言っても、普通はあらかじめ不動産会社がすべて用意してくれています。

高額な金額になりますし、収入印紙も必要になるので、不動産会社に任せてしまって問題ありません。

不動産会社が用意してくれた領収書に、署名・捺印し、その場で買主に渡します。

6.鍵の引き渡し

先述した通り「鍵を渡す=マンションを渡す」ことになります。

  • どんな種類の鍵があるのか
  • それぞれ何本あるのか
  • それぞれの鍵番号

を書面に残し(これも不動産会社がやってくれます)、その書面とともに鍵を、 “直接” 売主→買主に渡してください。

この瞬間からマンションがあなたのものではなくなるので、感慨深いこともあると思います。これまでの感謝の気持ちとともに、丁寧に差し出しましょう。

なおポストのダイヤル番号、宅配ボックスの番号なども、この時点で書面にて買主に渡します。

7.仲介手数料の支払い

すでに買主から入金してもらった売却代金の中から、仲介手数料を支払います。

売買価格の3%+6万円が上限価格であり、たとえば3,000万円で売れた場合は約103万円になります。

支払い方法として、

  • 現金手渡し
  • 銀行振込

の2種類がありますが、現金手渡しを希望されることも珍しくありません。

その場で銀行担当者に仲介手数料相当分を現金で引き出してもらい、その場で不動産会社担当者に手渡してください。その際、不動産会社担当者から領収書をもらうことをお忘れなく。

売買契約書の締結時に50%をすでに支払っているのであれば、残りの50%を支払うことになります。

※仲介手数料の計算方法などについては、以下記事で詳しく解説しています。

マンション売却における「仲介手数料」とは

 

決済当日の注意点

忘れ物はNG

当然のことですが、決済当日の忘れ物には注意してください。

特に絶対に忘れてはいけないのが、

  • 印鑑
  • 身分証

の3つです。

当日の持ち物として上記で6点挙げましたが、印鑑証明書・権利証・銀行通帳は事前に提出している場合などもあり、必ずしも決済当日に必要であるとは限りません。

ただし、印鑑・身分証・鍵の3つだけは絶対に当日必要です。これらがないと決済と引き渡しが進みません。完了できません。

せっかく日程調整し決済日を迎えたにも関わらず、多くの方に迷惑をかけてしまうことになるので、遅くとも前日までには準備しておいてください。

決済直後に入金確認する

マンション代金を入金してもらったら、必ずその場で入金確認してください。

銀行通帳を渡していれば、銀行担当者が記帳まで済ませてくれているはずですので、戻ってきたらすぐに金額を確認します。

事前に銀行側でも確認しておりまず間違いはないと思いますが、念のために不動産会社担当者と一緒に1円単位まできっちりチェックしてください。

数千万円という高額な金額です。大丈夫だろう、という過信は禁物です。

引き渡せる状態にしておく

繰り返しになりますが「鍵を渡す=マンションを渡す」です。

鍵を渡した後は、売主であるあなたがマンションに入ることはできなくなります。鍵を渡したら、もう買主のものです。

私物をすべて撤去しカラッポの状態にしておくことはもちろん、自分でできる範囲の掃除も済ませておきましょう。これまでお世話になってきた部屋に対し、感謝の意を表し、記念撮影をしておくのも良いでしょう。

次の住人である買主に気持ち良く新生活をスタートしてもらいたいものですから、遅くとも決済前日までには引き渡せる状態にしておきます。

 

まとめ

決済・引き渡しの完了は、マンション売却の完了でもあります。

数千万円という大金が動く日でもあるので、最後まで気を抜かずにしっかりと対応しましょう。

持ち物や当日について少しでも不安があれば、事前に不動産会社に相談しておくと良いです。当日朝では間に合いません。