不動産は売ったり買ったりする時にもさまざまな税金がかかるのですが、ただ持っているだけでも毎年税金がかかってきます。
その税金が、固定資産税と都市計画税です。
固定資産税
固定資産税とは
固定資産税とは、不動産(家・マンション、土地)を所有しているだけで毎年かかってくる税金のことです。
その名称の通り、固定資産(動かない資産=不動産)に対して課税される税金であり、各市区町村に支払います。※東京の23区は、区ではなく都に支払う。
固定資産税を国ではなく、市区町村が徴収するのは、不動産はその場所(市区町村)に半永久的に位置するからです。
納税者
納税者は、1月1日時点での不動産所有者です。
1月1日に所有していた人物が納税者となりますので、不動産売却後でも、多くの場合は売主が納税者になります。
しかしながら、日割り計算にもとづき、買主と売主の2人で税負担をすることが一般的です。
以下記事で、詳しく解説しています。
納税方法
納税通知書によって支払います。
市区町村によって異なりますが、おおよそ毎年5月~6月前後に送られてくる納税通知書に税額や期日が記載されています。
役所に行き現金で支払うのはもちろんOK、コンビニやクレジットカードで支払い可能な市区町村も増えてきています。
全期分(1年分)を一括して支払うこともできますし、分割して支払うこともできます。
ちなみに東京都の場合、6月30日が第1期、9月30日が第2期、12月28日が第3期、2月29日が第4期…という4期に分かれています。
都市計画税
都市計画税とは
都市計画税とは、固定資産税同様、不動産を所有しているだけで毎年かかってくる税金のことです。
ただし固定資産税が日本全国の不動産が課税対象であることに対し、都市計画税は特定地域の不動産のみが課税対象です。
その名の通り、計画的な街づくりを推進している市区町村、つまり都市部や郊外ニュータウンなどが対象です。
都市計画税は、以下のような事業のために徴収されています。
- 道路事業
- 土地区画整理事業
- 公園事業
- 下水道事業
- 市街地再開発事業
都市計画地域の一覧はこちら(Wikipedia)が参考になります。自分のマンション・家が都市計画税を支払う必要があるかどうかわかります。
納税者
納税者は、1月1日時点での不動産所有者です。
都市計画地域に不動産がある場合、固定資産税の納税者が、都市計画税の納税者にもなります。
納税方法
固定資産税の納税とともに、都市計画税も同時に収めます。
固定資産税同様に全期一括でも、分割支払いでも可能です。
売却後の買主/売主の税負担にについても、固定資産税の考え方と同様、日割り計算するのが一般的です。
税率・税額
固定資産税評価額にもとづく
固定資産税・都市計画税がどのくらいかかるのかを知るためには、まず固定資産税評価額を知る必要があります。
固定資産税評価額とは、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて、各市区町村が不動産(家・マンション、土地)に対して設定している「適正な」評価額のことです。
市区町村(自治体)の担当者が目視チェックし、ひとつひとつ、その評価額を決めています。
固定資産税評価額は3年に1回のペースで再評価(見直し)がされており、これを評価替えと呼んでいます。
固定資産税評価額は、路線価×地積(土地面積)で求めることができます。
税率・税額の計算方法
固定資産税と都市計画税は、固定資産税評価額にもとづき、以下のような計算式で算出されます。
固定資産税 | 固定資産税評価額(=路線価×地積) × 1.4% |
都市計画税 | 固定資産税評価額(=路線価×地積) × 0.3% |
例)路線価20万円、地積120㎡の場合
固定資産税:33.6万円(=路線価20万円×地積120㎡×1.4%)
都市計画税: 7.2万円(=路線価20万円×地積120㎡×0.3%)
上記税率はあくまで上限であり、実際に適用される税率は市町村によって異なる場合があります。
たとえば東京都の場合、都市計画税の税率0.3%を採用しているのは23区のみです。それ以外の武蔵野市や府中市、多摩市は0.2%、東村山市は0.29%とさまざま。
正確な税額の確認
市区町村によって税率が多少異なる場合もあり、上記計算式だけでは正確な税額は導き出せません。
正確な税額を把握するためには、毎年5~6月頃に送付されてくる納税通知書を確認する必要があります。
多少の表記の仕方は異なることもありますが、納税通知書内に「固定資産税・都市計画税 課税明細書」という項目・ページがあります。
納税通知書を紛失してしまった、見方がよくわからない、今すぐに知りたいなどの場合は、自分が住んでいる役所の税務課に相談してみましょう。本人確認ができれば、親身に相談に乗ってくれるはずです。
固定資産税と都市計画税の免税
固定資産税評価額が20万円未満
固定資産税評価額が、家屋(戸建て・マンション)の場合は20万円未満、土地の場合は30万未満なら免税されます。
つまり固定資産税と都市計画税が非課税となり、いっさい税金を支払わなくても良いという措置になります。
この免税点(家屋20万円、土地30万円)を基準に、課税対象であるかが左右されます。
都市部やニュータウンエリアなどでは、この免税点を下回る評価額になることは現実的にはほとんどないのが現状です。
たとえば路線価1万円、地積18㎡のような土地(この場合の固定資産税評価額は18万円)なら免税対象ですが、都市部やニュータウンにはほぼ存在しません。
都市部では路線価が高く、ニュータウンでは地積が大きくなる傾向にあるので、路線価×地積によって算出される固定資産税評価額も必然と高い数値(20万円以上)になるからです。
複数人で一つの不動産を共有所有していて、且つ自分の持ち分(所有割合)が小さい場合には、免税点を下回り、非課税になる可能性もあるでしょう。
不動産の持ち分については、以下で詳しく解説しています。
新築住宅
以下の要件に当てはまる新築住宅の場合、3年度分の固定資産税のうち、120平方メートルまでの居住用部分に相当する税額が、2分の1に減額されます。
- 平成30年3月31日までに新築された住宅
- 床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下
- 店舗や事務所などとの併用住宅の場合には、居住用部分の割合が2分の1以上
3階建て以上の木造家屋の(準耐火建築物に該当する)場合には、「固定資産税減額申告書」などを提出することが必要です。
公共性
住宅ではなく土地の話になりますが、公共性が高いとされる土地については非課税になるケースがあります。
私道や公園を土地所有者が開放しており、不特定多数が自由に使えるようにしている場合などです。
公共性が高いかどうかについては自治体の判断によりますが、もし自分が所有している土地に公共性を感じられるのであれば、免税措置を講じてくれる可能性があります。
特例措置
固定資産税や都市計画税は、各市町村(自治体)によってさまざま減税・免税措置を設けている場合があります。
正確に詳しく知るならば、自分が住んでいる(所有物件の所在地の)役所の税務課に尋ねてみるしかありません。
ちなみに一例を挙げると、東京23区内の場合、平成32年3月31日までに耐震化のための建て替えまたは改修工事をした住宅については、固定資産税・都市計画税が減税される特例措置が存在します。
まとめ
日用品や家電とは違い、不動産はただ所有しているだけで固定資産税や都市計画税がかかっててきます。
自分や家族が住んでいれば発生するのは当然ですが、売却し手放ししたとしても、売却年度の1年分は必ず納税義務が発生します。
「こんなに支払うのか」と落胆することがないように、大雑把にでも把握しておくことが大切です。