売買契約は一度結んでしまうと後戻りはできません。
不利な内容になっていないかなど、十分にチェックしてから進めてください。
売買契約の流れ
- 重要事項説明 (不動産会社→買主へ)
- 売買契約書の締結 (売主↔買主)
- 手付金の支払い (買主→売主へ)
- 仲介手数料の支払い (売主→不動産会社へ)
流れとしては上記のみですが、所要時間は2~5時間ほどかかりますので、念のため半日程度は確保しておいた方が無難です。
契約場所は仲介を依頼している不動産会社のオフィスが一般的です。契約日時については事前に調整してくれます。
流れ1:重要事項説明 (不動産会社→買主へ)
仲介を依頼している不動産会社から買主へ、重要事項説明が行われます。契約前に必ずしなければならないと法律で定められています。
宅地建物取引主任者(要免許)によって、「重要事項説明書」に基づきながら買主へ説明するのですが、具体的には以下のような項目です。
- 物件所在地や面積
- 建物の構造
- 水道・ガス・電気などのインフラ設備
- 管理・修繕のルール
- 手付金の支払い・金額
- 契約違反・解除
非常に細かい事項まで説明するので1~2時間くらいかかるのが普通です。
ただし売主が立ち会わなければならないという決まりはありません。重要事項説明は不動産会社に任せ、売買契約書の締結(流れ2)から参加するという形でも問題ありません。
流れ2:売買契約書の締結 (売主↔買主)
買主が重要事項説明書を確認し署名・捺印がされると、いよいよ売買契約書の締結です。
不動産会社によって進められ、「売主」と「買主」の間で締結します。
(出典 http://www.dousan.com/)
主に以下のような項目について記載されています。
あらかじめコピーをもらっておき、時間をかけてチェックしておくことをおすすめします。
物件の表示
マンション名や住所、何階建てか、構造(鉄筋コンクリートなど)、総土地面積などの建物の基本情報。そして部屋番号、部屋の面積、ベランダの面積など部屋についてです。
売買代金
売買総額はもちろん、手付金、残金についてです。支払い方法や支払日についての項目もあり、「◯年◯月◯日までに◯◯万円也」と細かく取り決めます。
引き渡し日
物件を引き渡す日も、この契約段階で明確にします。売主都合による一方的な日程変更は契約違反となり、違約金発生などのトラブルになります。
違約金・住宅ローン特約
違約金について、後から揉めないようにあらかじめ条件や金額を設定しておきます。
また契約締結したものの、買主の住宅ローン審査が通らなかった(≒事実上、購入不可能)場合についても明記しておきます。
※詳しくは途中キャンセルする場合/住宅ローン特約とはで解説しています。
瑕疵担保責任
売却完了後でも、売主は物件の瑕疵(隠れた欠陥)についての責任を負うことになります。
いつまでは責任を追うのかの有効期間を設定し、売買契約書の記載します。
※詳しくは瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)とは?意味や期間、免責内容についてをご覧ください。
署名・捺印
売主、買主、仲介人である不動産会社の三者の署名・捺印が必要です。
この署名・捺印をもって売買成立となり、後戻りはできなくなります。慎重に判断してください。
流れ3:手付金の支払い (買主→売主へ)
手付金とは、買主が売主に払う前払金のようなものです。
売買契約の締結後に、即その場で支払うのが一般的で、相場としては売買価格の5~10%前後です。3,000万円の場合、手付金は150万~300万円です。
安全面や記録面から銀行振込での支払いが普通ですが、現金手渡しのケースもあります。契約日が土日の場合、銀行での入金確認が週明け月曜日になってしまうからです。
現金の場合は、受け取り後に必ず領収書を渡してください。
手付金は購入代金に充当されるので、買主は残金分をあらかじめ売買契約書で取り決めた日にちに支払うことになります。
流れ4:仲介手数料の支払い (売主→不動産会社へ)
仲介手数料の支払いは売却完了(引き渡し終了)後とされていますが、売買契約の締結時に支払う場合もあります。
この場合は全額一括ではなく、計2回にわたって支払うことが多いです。契約時に半金(半額)を支払い、売却完了後に残り半金を支払うという流れです。
仲介手数料の上限は3%+6万円と法律で定められていますので、すでに受け取った手付金の中から支払い可能です。例外を除き別途用意する必要はありません。
売買価格3,000万円の場合だとすると、
- 手付金:150万円(最小の5%で計算)
- 仲介手数料:48万円(=3,000万円×3%+6万円 の半額)
となり、手付金150万円の中から仲介手数料48万円を支払うことができます。残り半分の48万円は売却完了後に支払います(計96万円)。
なお仲介手数料の支払いは、現金が一般的です。これも手付金支払のケースと同様、売買契約の締結が土日に行われることが多く、銀行が営業していないからです。売主も買主も平日に都合がつくのであれば、振込により支払いも可能です。
仲介手数料の支払い方法やタイミングは、なるべく早い段階で不動産会社に確認しておくと安心です。ある程度はこちら側の希望も聞いてくれるはずです。
必要書類など
売買契約当日までに準備しておくものです。
権利証(登記識別情報)
マンションの所有者であることを証明する、法務局から交付された12桁の符号です。
現在のマンション(売り出したマンション)購入時に受け取っているはずです。実際に渡すのはマンション引き渡し時ですが、持ち主であることを買主に証明するために契約時にも必要となります。
平成17年3月7日以前に売買された場合は、登記済証と呼ばれる書類が権利証になります。
管理規則・使用細則
マンションの管理費・修繕積立費、使用ルールなどについての資料です。
修繕費は築年数ごとに(時間経過とともに)上がっていくので、買主にとっては管理費や修繕費についての資料も重要情報です。
またペット飼育や駐車場・駐輪場、ゴミ捨てルールなどの情報も大切です。できれば売買契約以前のタイミングで提示することが望ましいです。
実印・印鑑証明書
契約書を交わす際に必ず必要になります。実印以外の印鑑でも認められることもありますが、シャチハタは普通認められません。
実印を求められた際は、併せて印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)を取得しておきます。
本人確認書類
顔写真付きの公的機関が発行している身分証明書を用意してください。運転免許証かパスポートであれば問題ありません。
印紙代
高額取引がされる際には印紙税を支払う法的な義務があり、印紙を貼ることで納税の代わりとなります。
印紙そのものは不動産会社が用意してくれますが、印紙代金は売主であるあなたが支払わなくてはなりません。
取引額によって変動するのですが、一般的な売却価格帯である1,000万円~5,000万円のマンションの場合、印紙税は10,000円です。
固定資産税納付証明書
売却マンションの固定資産税がしっかりと支払われているかを証明するために必要です。
市役所などの税務課で発行してもらえます。1通300円程度です。
※滞納していても売却可能ですが支払い義務は残ります。詳しくは固定資産税を滞納している場合をご覧ください。
まとめ
繰り返しになりますが、売買契約書の締結後のキャンセルは違約金が発生します。
数千万円の売り買いをスムーズに成立させるために、不動産会社を過信せず、自分でも必ず事前チェックするようにしてください。