マンションに限らず、家電でも日用品でもヤフオクやメルカリなど中古市場で売る場合は、一般的な相場から大きくハズレていると売れ残ります。
相場から外れないギリギリの範囲での高値で売るためには、まずは売却相場を知ることからはじまります。
売却相場を調べる方法4つ
マンション売却相場を調べるための4つの方法です。どれも誰でも無料で利用できます。
- レインズ
- 土地総合情報システム
- 一括査定
- 不動産ポータルサイト
3.一括査定がもっとも正確で、現実的な売却価格がわかるので外せません。
調べ方1 レインズ
不動産会社のみが利用できる不動産データーベースをレインズと呼びますが、過去の売買データは一般人でもネット閲覧できます。
マンションの都道府県と地域(市区町村)を選び、検索をかけます。
しかしながら、地域(市区町村)は選択できない場合もあります。これは登録データ数が少ないからであり、その場合は全エリアから探すしかありません。
「データは参考程度にしてくださいね。」という趣旨の警告メッセージが出ますが、そのまま待っていると自動的に検索結果が表示されます。さらに専有面積や間取り、築年数などでも検索ソートできます。
正確な住所やマンション物件名までは表示されませんが、実際に過去に売買された単価(万円/㎡)データを知ることができます。
たとえばここ数年人気の「柏の葉キャンパス」駅を見てみると、以下のような情報が出ています。
駅からの距離 | 単価(㎡) | 専有面積 | 間取り | 築年 |
徒歩5分以内 | 46万円 | 60~80㎡ | 2LDK | 2008~09年 |
徒歩10分以内 | 39万円 | 60~80㎡ | 3LDK | 2007~08年 |
上記のようなデータから、自分のマンションがどのくらいで売れそうなのかを推測することができます。
たとえば、売り出そうとしている自分のマンションが、
- 最寄り駅:柏の葉キャンパス
- 駅からの距離:徒歩5分
- 専有面積:70㎡
- 間取り:2LDK
- 築年数:10年
というような物件だとしたら、上記データから「単価46万円」で売れたマンションとスペックが類似しています。
ですので、おおよそ3,220万円(=単価46万円×70㎡)前後で売却できるかもしれないと、だいたいのイメージがつきます。
ただし、あくまでも参考程度にしてください。閲覧できる数値データには幅がありますし(専有面積60~80㎡など)、現在の実勢価格とは異なる可能性があるためです。
調べ方2 土地総合情報システム
国土交通省が運営するこのサービスは名称こそ「土地」ですが、マンションを調べることもできます。
こちらも日本全国の、過去の売買データが蓄積されています。
左メニュー「種類を選ぶ」の項目で中古マンションを選択し、続いて都道府県や市区町村を選びます。検索をかけると、該当する物件情報が出てきます。
正確な住所やマンション名までは出てきませんが、単価(万円/㎡)や取引総額などを知ることができます。
過去に「どのような物件が、どのくらいで売れたのか?」を把握できるため、ここでもレインズ同様に、自分のマンションがどのくらいで売れそうかのイメージをつけることができます。
調べ方3 一括査定
不動産会社に査定してもらう方法が、もっとも精度が高くなります。
調べ方1と2は過去データをもとに推測するしかないため、現在の実勢価格とは大きく離れている可能性もあるので、あくまでも参考程度にしかイメージできません。
査定の場合は、不動産市況などを加味して売る物件を評価するので、“現実的な”価格を判断できます。
ただし、マンションのような不動産の場合は会社によって査定額が大きく異なることもあるので、普通は複数社に一括査定依頼し、より正確な売却価格(相場感)をはじき出します。
≫マンション売却査定・一括見積もりサイト活用と注意点【全37サイト】
以下は、いずれ相続することになるであろう私の実家マンションを査定してみた結果です。
不動産会社 | 査定価格 |
大手 | 2,190万円 |
大手 | 1,700万円 |
準大手 | 2,350万円 |
中小 | 2,300万円 |
中小 | 1,750万円 |
最大600万円近くも開きがあり、不動産会社によって評価はまちまちです。
もっとも高値で売れるに越したことはないですが、この場合は平均値付近の2,000~2,200万円前後で売れるだろう、と判断するのが良さそうです。
調べ方4 不動産ポータルサイト
スーモやアットホームなどの不動産ポータルサイトに掲載されている情報を参考にする方法です。
エリアや物件スペックなどから、自分が売るマンションと似た物件情報を探し、「どのくらいで売り出されているか?」を知ることができます。
ただし注意しなければいけないのは、ポータルサイトに掲載されている価格は実際に“売れた”価格ではなく、売り出されている価格ということです。
実際に売れた額を知りたいのであれば調べ方1か2、より正確な額を知りたいなら調べ方3が向いています。
売り出し価格の決定方法
最終的な売り出し価格は、仲介を依頼している不動産会社と綿密に相談した上で決定します。
しかしながら、希望売却額で売るためには、以下2つのことに注意しておく必要があります。安易に決定してしまうと、手元に残るお金が想定よりも少なくなります。
ほぼ値下げ交渉される
ほぼ100%といっても過言ではないほどに、購入希望者は値下げ交渉してきます。
もちろんそのままの価格で購入してくれる場合もありますが、値下げ交渉を迫られることを前提に、売り出し価格を設定します。つまり希望売却額に「値下げ額」をあらかじめ上乗せしておくのです。
あまりにも非常識な値下げを要求してきたら対応する必要はないですが、一般的な常識の範囲(物件価格の3~5%前後)の値下げを交渉してきた場合に備え、希望売却額に3~5%を上乗せしておきます。
たとえば希望売却額が3,000万円なら、3,150万を売り出し価格に設定し、5%の値下げをしたとしても最終的には3,000万円に落ち着くようにします。
大幅値引きにも耐えるために「10%上乗せしておく」という考えも浮かぶかもしれませんが、売却相場よりも10%も高いと、不動産の場合は数百万円もの価格差になってしまい、売却完了までに長期化してしまったり、最悪の場合、売れ残るという可能性もあります。
上乗せしても売れる “現実的な” 価格を、不動産会社と相談しながら決定すべきです。
仲介手数料は約3%
マンション売却にあたり不動産会社に仲介を依頼する場合、不動産会社に「仲介手数料」を支払う必要があります。
※不動産会社に頼まず個人間でマンション売買することは現実的には不可能なので、必然的に不動産会社に仲介を依頼することになります。
どのくらいの手数料がかかるか、については以下の計算式によって算出できます。
仲介手数料=売却価格 × 3.24% + 64,800円
たとえば3,000万円で売れた場合、仲介手数料は1,036,800円(=3,000万円×3.24%+64,800円)となり、手数料支払後に手元に残るお金は約2,900万円です。
購入希望者からの値下げリスク同様に、あらかじめ仲介手数料分も考慮し、売り出し価格を決定する必要があります。
仲介手数料の割引など詳しくは不動産売却における「仲介手数料」とはという記事で解説しています。
売り出し後の値下げ
いざ売り出してみたものの、なかなか購入希望者が現れないという事態も起こり得ます。
気長に待つという手段もありますが、現実的にはそのまま売れ残る可能性が高いため、値下げして反応を見ます。
一般的には1ヶ月ごとに1.5~3%ほど(3,000万なら50~100万くらい)ずつ値下げすることが多く、特に大台を乗り越えると(3,000万円から2,900万円に値下げなど)一気に内見者が増えることもあります。
これは不動産サイトなどの検索項目で「2,000万円台」「3,000万円未満」という条件で探している層に対しても訴求できるようになるからです。
値下げについて詳しくはという記事で解説しています。
≫マンション価格を下げるタイミングと値下げの注意ポイント3つ
まとめ
同じマンション内の、同じ間取りの部屋が、同時期に売り出されていれば、強力な有力情報として「売却価格」を決める上で役立ちますが、現実的にはなかなかありません。
不動産会社に手伝ってもらいながら、売却相場を把握し、“現実的な” 売れる価格を見つけることが、マンション売却を成功させる秘訣です。