不動産業界は専門用語が多い。
そう感じてしまっても不思議ではありません。日常生活ではほとんど見たことのないような用語がたくさん出てきます。
今回はそんな中でも、不動産売却の話でよく出てくる「瑕疵担保責任」についてわかりやすく解説します。
瑕疵担保責任の意味
瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)とはなんでしょうか?
そもそも「瑕疵(かし)」とは傷や欠点の意味であり、不動産では「欠陥」と呼ばれることもあります。
瑕疵担保責任とは、こうした欠陥を、売却後も一定期間は売主側が責任を持つ、というものです。
欠陥があることを知ってから1年以内であれば、売主に対し、責任追及できることになっています。
瑕疵担保責任の具体的イメージ
もう少しわかりやすく解説しましょう。
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Aさんは、Bさんが売り出し中の中古一戸建てに興味を持ちました。実際に現地へ行き、外観や家の中もチェックしたところとてもキレイですし、予算内であったため購入を決めました。
ところが住み始めて2ヶ月後。ある部屋に雨漏れが発生していることがわかりました。また別の部屋からは異臭がするようになりました。さらに土壌汚染していることも発覚。
Aさんは「こんな欠陥があったなんて聞いていない。どうしてくれるんだ?」と思うことでしょう。ここで活躍するのが、瑕疵担保責任です。
瑕疵担保責任のルールにもとづき、このように後から発覚した欠陥については売主であったBさんが責任を負う義務があります。つまり欠陥を治すための費用はすべてBさんが出すことになります。
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このように瑕疵担保責任は、買主側を守ってくれるルールなのです。
瑕疵担保責任の有効期間は3ヶ月
個人が不動産を売る場合、瑕疵担保責任の有効期間についてのルールはありません。
特に取り決めをしなかった場合は、欠陥が3年後に発覚しても7年後に発覚したとしても、売主に責任追及ができてしまいます。
しかしながら、これではあまりにも売主が困ってしまいます。数年間住み続ければ、どこかしらが傷んでくるのはごく自然なことです。
そこで売却時に、瑕疵担保責任の有効期間を設定しておくのが一般的です。
中古マンションの場合は、3ヶ月程度の設定が多いです。
ちなみに瑕疵担保責任の時効は10年です。どんな欠陥があったとしても10年以内でないと、売主への責任追及はできなくなります。
瑕疵担保責任の免責
個人が不動産を売る場合は、瑕疵担保責任を免責(免除)することができます。
少し荒っぽい言葉でいえば、「売却後に欠陥があっても知らないよ!」と責任逃れすることもできます。
たとえば築30年以上の古いマンションは、瑕疵担保責任免責の条件で売りに出されていることなどがあります。
ただし当然のことながら瑕疵担保責任がない中古マンションの場合は、買主側が警戒します。
「瑕疵担保責任を免責するってことは、きっとどこかに隠れた欠陥があるってことだな。」
と判断するので、その物件は購入検討の対象から外れ、他の物件を探し始めてしまいます。
結果的に買手がつかない、つまりいつまで経ってもなかなか売れない事態を引き起こしてしまうので、免責はおすすめできません。
しかしながら、売却方法が不動産会社による「買取」の場合は、瑕疵担保責任を免責しても問題ありません。
詳しくは、不動産売却の種類-「仲介」と「買取」の違いとはをご覧ください。
付帯設備は対象外
瑕疵担保責任は不動産そのもの(マンション物件自体)が適用範囲であり、家具や家電などの付帯設備は対象外です。
したがって売主が置いていってくれたエアコンなどが壊れても、瑕疵担保責任を追求できません。
詳しくはマンション売却時にエアコンなど家電・家具を置いていく場合の注意点で解説しています。
まとめ
このように瑕疵担保責任は、買主側にとっては非常に嬉しいルールです。
不動産購入時に瑕疵担保責任の有無、内容についてしっかりチェックしている購入検討者も少なくありません。
瑕疵担保責任を免責しているマンションは、売却が非常に難しいということになります。
逆に言えば、明確にしっかりと瑕疵担保責任があれば、買手側も安心して検討することができるため、高値で売却することへの可能性が高くなります。