現在50歳。今から9年前、41歳の時初めて不動産(マンション)を購入した。
と言えばバリキャリ(※バリバリ働いているキャリアウーマンの意味)がきれいで高額なマンションを買ったようなカッコいいイメージだが、実は、山口県下関市の某水産加工会社が、日の出の勢いの時に社宅として建築、使用していた築年数不詳のマンションとは程遠い2LDKの物件だ。
購入理由は、当時親と同居していたというか親の家にパラサイトしていた私が、そう遠くない将来、両親ともいなくなった時、不便な場所にある広い一戸建てでとても女一人で生きていけないと思ったからだ。
インターネットで物件を探し始めると資力に乏しい私でも何とか買える古~いマンションが実家の近くにあったので即決した。
キャッシュで買ったため貯蓄はゼロになり、すぐに引っ越すことはできなかったので、しばらく賃貸物件として他人に貸すことにした。古い中古物件で、そのままでは借り手がつきそうになかったので、網戸やトイレの取っ手等いくつか修理した。
マンション購入時にお世話になった仲介業者は、ひどくまずいお茶を出したり、担当者が「遵守」を「そんしゅ」と読んだりしてあまり信頼できなかったので、賃貸管理は、別のもっと大手の会社に頼んだ。
借り手はすぐに見つかった。
最初は母親と成人した息子の二人で、家を売って入ってきていた。しかし約1年後、公営住宅が当たったということで転居した。
2番目は、母親と成人した娘の二人で、他県からの移住者だった。これも1年くらいで転居した。3番目は、単身の男性(公務員)だった。この賃借人は、定住してくれた。
ところが、そんな矢先、私の両親が共に入院し、父は亡くなり、母は退院したものの健康体ではなかった。
母の面倒を看ながら不便な場所にある一戸建てに住むより、母にケアハウスに入ってもらって、私は車がなくても生活できるようなマンションかアパートに移った方が良いという考えに至った。
貸しているマンションに自分が入れれば言うことはなかったが、一旦他人に貸すとよほどの理由がない限り賃借人に退去してもらうことはできず、裁判になったり、多額のお金を支払わねばならなかたりするということだった。
賃貸収入は20万円ほどあったが、マンションの家賃収入より、母の近くに転居したい気持ちの方が大きかったので、公営住宅を申し込むためにマンションを売却することにした。
賃借人はそのままでのオーナーチェンジだ。専任媒介と一般媒介のどちらにするかわからなかったが、一般媒介にすることにして、賃貸管理を依頼していた大手の会社と小さな会社の2社に依頼した。
大きい業者は、売値にかかわらず報酬は、18万円という契約をさせられた。私の物件の価格では、法的には売値の4%+2万円で、相当にこちらに不利な契約で、これは今でも合法だったのか、あの時宅建協会に相談していればどうなっていたのかは不明だ。その理由を業者は、広告代等色々必要なためと言っていた。
売値より70万円ほど高い価格からスタートしておよそ1か月に10万円ずつ価格を下げていった。7か月後くらいに買い手が2人ついた。どちらも大きい方の業者だった。業者がそのうちの一人を選んだ。買い手とは顔を合わせることもなく、別々の日に不動産屋でそれぞれ契約した。
振り返ってアドバイスがあるとしたら、一般媒介で、大手の業者2、3社に依頼するのがいいのではないか。
優柔不断も考え物だが、こと不動産という大きな売買に関しては、あせらず、面倒くさがらず、よく調べ、よく訪ね、よく尋ねることだと思う。
過去には戻れないので前向きに生きてはいるが、家賃収入ほど良いものはなく、良い借り手がついていたのだから借り手が転居するまでマンションを持ったまま実家にいればよかった。
「何事も急いては事を仕損じる」というのが本音だ。