査定でわかる「瑕疵と遵法性」は高値売却へのヒント

世の中のモノは時間経過ともに、その価値が徐々に低下していきます。

家やマンションも例外ではなく、不動産の場合は特に「経年劣化」と呼ばれます。

経年劣化とは

経年劣化(けいねんれっか)とは、年月が経つうちにモノの品質や性能が低下することです。

家電や車だけではなく、家やマンションも経年劣化からは逃れられません。

クロス(壁紙)や畳、フローリング(床)などは経年劣化しやすい部分であり、普通に生活しているだけでも時間経過とともに、多少汚れてきたり傷ついたりすることが普通です。

不動産売却において考えるべきは、経年劣化が与える価値(売買価格)です。

当然のことながら、よりキレイで高品質の物件が好まれますので、あらかじめ自分が所有している物件の経年劣化について把握しておくことが大切です。

 

不動産には「車検」がない

不動産には「車検」がありません。

そもそも家に “車” 検はないでしょ…と突っ込まれそうですが、この意味は「不動産は定期検査がない」ということです。

車の場合は走行距離などの使用状況に関係なく、持っているだけで2年に1回(新車は初回3年)、専門機関によって点検・整備しなければならないことが法律で定められています。これが車検です。

安心安全に走れるかどうか、危険そうな箇所はないか、違法改造はしていないかなどを厳正にチェックしています。この車検のおかげで、日本中を走っている車の品質がある程度は保障されています。

しかしながら、家やマンションなどの不動産はどうでしょうか。

車のような車検、つまり数年に一度の定期検査はありません。法律によって義務付けられているわけでもありません。

そのため、自分が所有しているマンションになにかしらの不備があったとしても気付くことが難しい、もしくは気付いていいても所有者が軽視していることが珍しくありません。

 

瑕疵(欠陥)や遵法性欠如の把握

マンションの不備は、その不動産自体の価値を下げ、売却価格を下げることにになります。

ここで言う不備とは、瑕疵(欠陥)と遵法性欠如のことであり、これらを把握しておくことが高値売却へと繋がります。

瑕疵(欠陥)

瑕疵(かし)とは欠陥のことで、不動産業界ではよく使われる言葉です。

実際にある瑕疵として多いのが、雨漏れやシロアリ、外壁の汚れ・ヒビ、土壌汚染などです。

瑕疵をそのまま隠して売ることは禁止されており、買主(購入検討者)に告知する義務があります。

また売却後に瑕疵が見つかった場合でも、瑕疵担保責任というルールに基づいて売主負担で修復することになっています。

遵法性の欠如

遵法性(じゅんぽうせい)とは、簡単にいうと「法律を守っている」ということです。

家やマンションに遵法性の欠如があると、つまり違法性がある場合は、瑕疵同様に売却価格を下げます。場合によっては売ること自体できないかもしれません。

普通に住んでいるだけなら滅多にありませんが、勝手な判断で増改築をしてしまった場合は、法律違反してしまう恐れがあるのです。

たとえばベランダの敷地内に、勝手にプレハブ小屋を経て居住スペースの一部として利用しているケースです。この場合、容積率において違法の可能性があります。

建築基準法という法律によって、敷地面積に対して「どれだけ床面積を作っていいか」という容積率を定めています。

敷地面積を増やすことなくプレハブ小屋を建てることは、敷地面積を増やすことなく床面積を増やすことを意味するので、違法性の恐れがあるということです。

 

査定によって発見・指摘してもらう

上記のような瑕疵や遵法性の欠如、そして経年劣化は、不動産の価値(売却価格)を確実に下げます。

しかしながら所有者が不動産に詳しいわけでもない一般人である場合は、これらに気付くことは容易ではありません。

シロアリや土壌調査を自分でやるのは難しいですし、悪意なくプレハブ小屋を設置し、知らず知らずのうちに法違反してしまっているかもしれません。

こうした瑕疵や遵法性の欠如を発見・指摘してもらうには、専門業者によって自分の持っている不動産を査定してもらうことです。

不動産査定の本来目的はその名の通り、売れそうな価格を査定することですが、査定額を算出するにあたっては必ず瑕疵や遵法性を加味する必要があります。

プロの厳しい目線によって瑕疵や遵法性の欠如が明らかになれば、価値(売却価格)を下げるマイナス要因もわかります。

マイナス要因さえ把握できれば、あとは解決するのみです。

 

まとめ

不動産のマイナスをクリアするには数ヶ月単位の時間がかかります。

家やマンションも、車検同様に、定期的に専門業者に診(見)てもらうことが大切です。

いま現在とくに所有物件の売却予定がなくても、5年に1度くらいは不動産業者による査定を受けるのも選択肢のひとつです。

常日頃から自宅のマイナスを知り、適正な価値(売却価格)を把握しておいてください。

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